私は福島県喜多方市で水道工事屋を経営しているものです。社員はまだいませんが、経営が軌道に乗るまで、一人で頑張っています。
その日、午前中にトイレの修理を終えて会社に戻ると、すぐに電話がありました。ここから車で30分ぐらいの場所で、洗面台下の床に水が染み出してくる、といった、ご相談でした。昼食を取りたかったのですが、とりあえずバンに荷物を積み込んで、お客様の家に向かいました。
車で向かう途中、どうしても腹が減ったので、行きつけの喜多方ラーメンで腹を満たし、また車を走らせました。農道を行くと,その家はありました。木造平屋建てで築年の風格があるお宅で,農業を営んでいるようです。チャイムを押すと、ご主人らしき人が出てきて案内されました。
電話で説明されたように床に水がしみだしていました。水漏れの原因を特定するために、あちこちを点検していきましたが、どうやら下の収納スペースに問題があるようです。
洗面下の扉を開けてみると排水管から水漏れしてしまっているのがすぐにわかりました。排水管は塩ビのもので、道具を使わずとも手で簡単に外せます。とりあえず、元栓のハンドルを右に回し水を止めました。塩ビのパイプを手で分解していき、ゴムパッキンを目視で確認するとかなり劣化しているのが確認できました。原因は、これのようです。パッキンを新しいものに変え、また排水管を元に戻して終了です。
ここまで、かかった時間はわずかに30分ほどです。当社はスピードをモットーにしているので施工時間はなるべく短くしています。お客様には早く終わって料金も安いと感謝され、そのお宅を後にしました。
農道を通り会社に戻ります。フロントガラスには飯豊連峰の山並みが広がっています。日はまだ高く、山の輪郭線のはるか上にあります。会社に戻ってからまだ一仕事できそうな時間帯です。私は、会社に戻ってから、またすぐにお客様からの依頼がないかと期待しつつ、車を走らせました。